社会保険労務士法人村松事務所

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「組織原則が組織運営の問題を解決する」編 

18.05.24 | ミニコラム

<原資計算は組織力を最大にする原則>

経営者は常に業績を連続して向上させようと考えています。業績を連続して
向上させなければ、企業の存続ができないからです。

ところが、この経営者の立てる経営目標に、全社員が一致して賛成するとは
限りません。この賛成度合いも組織の原則2:6:2が適用されます。

経営者の立てた目標に賛同し「やろう」というのが上位の2割、「本当に大丈夫
だろうか、達成できるだろうか」と心配する6割、そして、最初から「それ
は無理」と諦めている2割と、組織内の反応は分かれます。

この状況になっても、経営者が目標を下げることはありません。目標を高く
すること自体が組織力を向上させる最大の方法であることを知っているからです。

逆に、目標が低い経営者は現状の組織力を高めるという気持ちがないというこ
とになります。そのような経営者はほとんどいませんから、例外なく経営者は
高い目標を掲げます。

全ての社員に「高い目標を達成しよう」と考えさせるためには、経営目標の
特別な側面を教えなければなりません。それは高い目標を実現したときに、
社員全体の賞与原資・昇給原資は最大になるということです。

仮に、去年と同じ業績であれば昇給はありません。賞与も良くて去年と同額と
なります。ところが、業績が良くなれば昇給も賞与も原資が増える可能性があ
ります。

たとえば、去年と同じ業績であれば賞与原資は500万円です。しかし、去年の
実績よりも20%アップの経営目標を掲げていれば、賞与原資も20%アップの600
万円にまで増やせる可能性があります。

つまり、昇給・賞与を増やすためには業績を向上させることが不可欠なのです。
通常、賃金制度は社員の成長度合いに合わせて差をつけるためのものであるよ
うに考えられています。しかしそうではありません。賃金制度は、業績に合わ
せて原資がどう増えるかということを示すものなのです。

それを知ることで、社員は高い目標を自分たちのために必要なものであること
を知り、実現に向けて積極的に取り組もうという気持ちになります。そのとき
に役に立つのが成長シートです。

成長シートがある企業では、業績を上げる方法が難しくないことを社員は知って
います。成長シートには組織の中にいる高い成果を上げている社員の重要業務や
優れたやり方が掲載されているからです。高い成果を上げている社員と同じ重要
業務を同じ優れたやり方で実施すれば、同じように高い成果が上がることは誰が
見ても明らかです。

であれば、まずやるべきことは高い成果を上げている社員がそのやり方を全社員
に教えることです。これができれば、簡単に業績を向上させることができます。
つまり、すべての社員が優秀になり、優秀さに差がなくなることを意味します。

全社員が現在最も優秀な社員と同じように優秀になったときに、会社は最大の
組織力を発揮することになります。かつてないほどの高い成果を上げることに
なるでしょう。

もっとも、優秀な社員が優れたやり方を他の社員に教えることによってますます
優秀になることは、どの会社でも確認されていることです。その優秀な内容を
さらに他の社員に教えることで、さらに組織力は高まっていくでしょう。

賞与原資の計算式を示すだけで、組織は最大の力を発揮することになります。
賃金制度の一番大事なことは、この原資計算にあるのです。


   = この続きは、来月またお送りいたします。 =

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