社会保険労務士法人村松事務所

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「組織原則が組織運営の問題を解決する」編

18.06.26 | ミニコラム

<教育はコストパフォーマンスの原則>

企業は、収益と費用のバランスで成り立っています。収益が費用以上に高
ければ、それは利益として計上され、次の事業発展のための費用として使
われることになります。

そのため、企業経営は常にコストとパフォーマンス、費用対効果について
考えながら事業を行っています。どんなに高いコストをかけたとしても、
それ以上のパフォーマンスがあれば、経営としては成り立っていることに
なります。

逆に、どんなに少ないコストであってもパフォーマンスが低ければ、それ
は損失となって事業継続することはできません。経営者であれば、このこと
に意識をしていない日は無いでしょう。

ところが、教育に関してだけは若干趣を異にします。社員を成長発展させる
ためには教育が必要であるという大前提があるため、教育することがとても
重要だと思ってしまうことに落とし穴があります。

教育するときには当然ながら、費用と同時に時間も投入していることになります。
 
人件費は、教育をしているときにも当然発生していると考えなければなりません。
思った以上に教育のコストはかかるものです。
 
であるがゆえに、教育するときには必ずこの教育に対するコストパフォーマンス
を測定できるようにしなければなりません。そしてこのコストパフォーマンスを
常に向上し続けなければなりません。

まずパフォーマンスの測定です。成長シートに書いてあるプロセス、つまり
重要業務の遂行度、知識・技術の習得度、そして勤務態度の遵守度が成果を
上げるためのプロセスです。

つまり、成長シートのある会社は何を教育したらよいのかという教育テーマが
明確になっています。そのため、このプロセスを重点的に教育することになる
でしょう。

成長シートがあることでさらに、その教育の効果が測定できます。教育によって、
成長点数が向上しているかどうかを明確に計測することができるからです。

例えば、商品知識の研修会をしたとします。今までその会社の一般職層の対象
となる社員の「商品知識」の平均点数が2.2点だった場合、この研修の効果で3.1
点まで向上すれば、明らかにパフォーマンスがあったことが分かります。
これは、経営者にとってはありがたいことです。

さらに、このパフォーマンスが明確になったら、次はコストパフォーマンス。
できるだけ少ない費用でパフォーマンスを上げることを考えなければなりません。
その1つが、組織原則によって教育内容を変えるということです。

今までは教育というと全員一緒に学ばせるという考え方がありましたが、
これからは組織原則2:6:2に従って教育をすることになるでしょう。

2:6:2の上位2割の優秀な社員は既に社内に学ぶことはありません。
そのため、社外の研修に派遣し学ばせることが多くなります。

その次の6割の社員は、優秀な社員からその優秀なやり方を学ぶことになるでしょう。
この場合、社外に流出する教育のコストは発生しません。

さらに、これから成長する2割の社員は、その上の6割の社員が講師となって教育
をします。これも社外に費用が流出することはありません。

この2:6:2の原則に従い、社内の講師が増えていくことによってコストは下がります。
さらにパフォーマンスである成長点数がわかれば、常に教育のコストパフォーマンス
を計測することができるようになります。そして最も高い社員の成長、そして業績
の向上が実現できるようになります。

あくまでも、教育の目標は経営目標の実現です。初めてここで、教育の目的と業績
の向上の結果が分かるようになるのです。


   = この続きは、来月またお送りいたします。 =

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