社会保険労務士法人村松事務所

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「組織原則が組織運営の問題を解決する」編

19.10.28 | ミニコラム

<会社の目標と社員の目標不一致の原則>

会社全体の経営目標を各部署に割り振り、さらに社員に割り振るのが日本
の一般的な目標管理です。ですから現状ではそれを疑問に思う人はあまりいません。

当たり前だという意識があれば、疑う余地がないのは当然です。しかしその
当たり前の中で日本では社員が与えられた目標に魅力を感じたり、意欲を感
じたりできず、仕方のないものと諦めているきらいがあります。

目標とは何でしょうか。自分の成長を促すためのものが目標です。目標があ
るからこそ、自分がそこに近づいているのかどうかをその都度確かめることができます。

会社で成長しなくていい社員は1人もいません。成長するために会社に入社してきています。
その自分の成長を確認するために目標を立てるのです。

どこまで成長できるだろうか。そう考えて挑戦することは当然ながら喜びであり、
楽しみであり、エキサイティングなことであるはずです。ところがどうでしょうか。
割り振られた目標に喜びを感じている社員はいません。そのことに気づいている
人はどれほどいるのでしょうか。

社員には社員の、独自の成長の目標があるのです。評価シートをつくった会社は
すでに分かっていることがあります。「すべての社員は一般職層を卒業して中堅
職層へ行きたいという気持ちを持っている」ということです。

一般職層を卒業するためには、一般職層の評価シートで80点以上の点数を取ら
なければなりません。この点数を取らなければ中堅職にはいけないのです。
そうだとしても、中堅職層に行くために立てる目標が、会社の都合ではなく自分
のためである目標なら、当然ながら目標は高くなるでしょう。

一般職層には20点の社員もいます。30点の社員も、40点の社員も、60点の社員も、
もちろん、80点以上の社員も、それぞれが、それぞれの点数に沿った成果を上げています。

中堅職にステップアップすることを考えるなら、80点以上の点数を取ることを
目標として考えない社員は1人もいないでしょう。「一般職層を卒業したい」
ということはそういうことです。将来に向けた社員の思いに適った形で目標設定
をさせれば、社員の目標は驚くほど高いものになります。

もちろんここでは、いつも説明している通り、達成率では評価しません。あくまでも、
評価基準における実績で評価することになります。

実践した多くの経営者が社員の目標の高さに驚きます。驚いて、次の発言をするようになります。

「私が立てた目標に全社員が賛成したことはありません。ところが、今回社員が
設定した目標を合計したら、私が考えていたものよりはるかに高い目標になりました。
この際、社員の立てた目標を会社の目標に変えようと思うのですがどうでしょうか」

残念ながら、経営者が立てる目標は会社の存続・発展のために経営者がその立場で
立てる目標であり、社員が自分の成長のために考える目標とは目的が違います。
そのため、社員が立てた目標を会社の目標にすることはできないのです。

会社は会社の目標、社員は社員の目標。この考え方を持つことによって、社員は
高い目標に向けて飛躍的に成長することになります。目標の高い社員で、成長し
なかった社員は1人もいません。
 
組織の中で目標が1番高いのは経営者です。次いで高いのが幹部でしょう。
社員はこれから成長します。しかし、本来であれば低い目標であったはずが、
人生における成功を考えて目標を設定すると、とても高い目標になります。
結果としてそれが会社の業績に繋がることはいうまでもありません。

今までの目標管理の運用に成功している会社はほとんどないといって良いでしょう。
ならば、評価シートで自分の成長を考えさせ、自由に目標設定させてみてください。
これによって、今までかつてないほど飛躍的に成長する社員たちを目の当たりにすることになるでしょう。

   = この続きは、来月またお送りいたします。 =

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