社会保険労務士法人村松事務所

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「組織原則が組織運営の問題を解決する」編

20.01.07 | ミニコラム

<成長に最も必要なのは勤務態度の原則>

一般的に、経営者が優秀だと判断するとき、最初に見ている点は当然ながら
成果の大きさです。大きな成果を上げていることで、「優秀な社員だ」と判
断をすることになるでしょう。

評価シートで優秀な社員を分析していけば、当然高い成果を上げている社員
は重要業務を遂行していることになります。どのような重要業務をしている
かということが今度は明らかになり、そのために持っている知識・技術も明
らかになり、徐々に優秀な社員が可視化されていくことになります。今まで
成果だけで優秀だと判断していた経営者も、優秀な社員を可視化することで
すべての社員を優秀にすることができると、大いに感動することでしょう。

ところが、多くの経営者が段々に気が付いていくことがあります。社員は一
般職層から中堅職層、そして管理職層へと成長していきます。そのときに経
営者と同じ価値観を持っている社員ではないと、中堅職・管理職、そして幹
部として成長することはないということです。

例えば、「協調性」が大切だと思っているときに、協調性がない社員を中堅
職層にステップアップさせようと考える経営者はいるでしょうか。勤務態度
が悪いと感じている社員を中堅職層にステップアップさせようと考える経営
者はいるでしょうか。

勤務態度は重要ではないと考えている経営者がいることも事実です。しかし、
「仕事をする上でこれは大事だ。守ってもらいたい」と思っていることを守
っていない社員を、中堅職層に上げることはできません。高い成果を上げて
いるとしても、です。

組織を率いるとき、成果を上げさせるのは最終ゴールです。まずは中堅職層
になった社員が部下に指導するのは、経営者が大事にしている・守って欲し
いと考えている勤務態度を守らせることです。

これを守っていない社員は部下に指導することはできません。つまり、守っ
ていない状態のままで中堅職層にステップアップさせることはできないし、
ましてや管理職として中堅職を指導することはできないのです。

これは後で気が付くと大変なことになります。勤務態度が守れない幹部を組
織の中に発生させてしまうことがあるからです。これは特に、業績を中心に
考えているときに生まれてしまうことになります。経営者が大事だと思って
いることが正確に組織の中に伝わっていないために起きてしまう現象と言え
るでしょう。

成果は上げられるが勤務態度に問題のある社員を、経営者もいつか問題だと
感じ、指導することになります。しかし、勤務態度は仕事をする上での基本
的な考え方です。これを長年守ってこなかった幹部を指導するのは、並大抵
のことではありません。多くの経営者が苦労をしています。

そのため、経営者は冷静に考える必要があるでしょう。もし、本当に一般職
・中堅職・管理職を経て幹部となり、いつか優秀であるがゆえに後継者とし
て指名することになるのなら、早い段階で勤務態度を守らせることに注力さ
せなければならないのです。心の準備をしている暇はありません。気づいた
瞬間からすぐに始めてください。

これができなければ、幹部といえども残念ながら会社に留まることはありま
せん。いつか必ず別れが来てしまいます。

経営上、必要な売上・利益を高い生産性で上げることが求められるのは事実
です。そして世の中に貢献した結果を数字で分析することは大切であり、
それをないがしろにして経営はできません。しかし、それを担う社員、管理者
も幹部も実は同じ組織風土の中で、同じ価値観で働き、大事なものは大事だと
守っていくように育てなければなりません。

すべての階層に必要な勤務態度があります。この勤務態度を守らせることは
経営者にしかできません。であるがゆえに経営者にとって大事なもの・守って
もらいたいものはなんであるかを全面に出して、組織風土を形成してもらいた
いと思います。

   = この続きは、来月またお送りいたします。 =

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