社会保険労務士法人村松事務所

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「組織原則が組織運営の問題を解決する」編 

20.06.29 | ミニコラム

<マネジメントの生産性が組織の生産性の原則>
    
組織の中で最も生産性が低いというのは、マネジメントをしているマネージャー
と営業社員と言えます。営業社員の生産性の低さは世界でも稀にみる状態に
なっていますが、それは営業社員に固定残業代を支給していることからその
低さが生まれます。

営業活動はその実態に合わせて労働時間が変動することになるのが当たり前です。
ところが毎月同じように固定残業代を出すということは、残業をせずに仕事を
する改善を諦めたということに他なりません。残業しないで成果を上げている
社員が最も優秀であるということを組織の中に明示することができないのです。

仮に優秀な社員が残業をせずに成果を上げたとすれば、基本的にはその固定残
業代は必要ないということになるでしょう。しかし優秀な社員は固定残業代がない、
それが表面上年収が下がることを意味するとすれば、優秀な社員は生産性を向上
させる道に踏み出すことはありえないのです。生産性を上げた活動をしたいと
社員が思っていても、固定残業代がその足枷になっていることに経営者は気が
付く必要があるでしょう。

それ以上に問題なのはマネージャーの生産性の低さです。マネージャーにはその
固定残業という概念すらありません。つまり毎月何時間マネジメントに時間を投入
するということがまったくわからないまま、マネジメントをしています。

マネジメントという言葉も部下指導という言葉も非常に抽象的な概念であり、具体的
な行動にはなりません。どんな行動を取ったらそれはマネジメントなのかを具体的
に書き出していって、それをスケジューリングし行動することによって、初めて
マネジメントの時間が分かってきます。

現在は部下の伸びた成長点数が期待成果としてあるために、パフォーマンスを計測
することができるようになっています。これは世界的にも稀なことですが、弊社が
コンサルティングをした多くの会社はパフォーマンスが計測できます。

そして、マネジメントにも主体業務と付帯業務があります。パフォーマンスを計測
するためにも、主体業務がなんであるかということを今後は明確にしていく必要が
あるでしょう。その主体業務が増えることが部下の成長点数を伸ばすことと正比例
するかどうかで、確認することができます。

大切なことは、その1つが評価のフィードバックだということです。主体業務と言える
この評価のフィードバックを行っていない会社では、上司が部下の成長点数を伸ばす
ことができないことが明確になっています。

または部下の目標設定に対する指導、部下の行動に対する指導、さらには部下が更なる
目標設定するために必要だと思っている改善についての指導、これらをどのように指導
しているかということがすべて主体業務となります。それ以外に評価会議や評価シート
の見直しなどの会議・ミーティングがあるとすれば、それも付け加える必要があるでしょう。

この時に大切なのは、この主体業務と付帯業務を合計したマネジメントの時間を毎月
何時間と捉えているかということです。あなたの会社ではそのマネジメントの時間を
「中堅職層は何時間、管理職層は何時間持っている」と言い切ることができるでしょうか。
それが明確でない会社はこの稼働率を計算することができないのです。この稼働率を
計算することができない会社で生産性を上げた会社は1社もありません。

優秀なマネージャーが明確にならない最大の理由は、このマネジメントの時間が明確に
なっていないことにあります。組織全体の生産性を左右するのは、マネージャーである
ことは言うまでもありません。であれば生産性の高いマネージャーを育てる必要があります。

その第一段階としてそれぞれのマネージャーがこの1か月間の間に何時間時間を投入するか
ということを決めてください。そして毎月そのマネジメントの時間分の主体業務の時間、
いわゆる稼働率、そして主体業務時間分の部下の伸びた成長点数、いわゆるパフォーマンス、
これを毎月計測してください。

    = この続きは、来月またお送りいたします。 =

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