アーチ社会保険労務士事務所

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成長につながる仕事の「機会」の与え方

23.06.20 | コラム【人事】

前回のメルマガでは、モチベーションサイクル(「機会→支援→評価→承認→報酬」)について解説しました。モチベーションサイクルを回すことで、部下のやる気を維持することができ、仕事で成果を出すことに繋がり、結果的に部下自身が成長を続けることができます。では、具体的にどのように進めていくのか、実際にモチベーションサイクルをうまく回すための方法や考え方について解説します。

成長につながる仕事の「機会」の与え方とは?

しっかり育てているつもりだけど、なかなか人が育たない…、といったことはありませんか?
「部下を成長させるには仕事を与えて、たまに相談に乗ればいいだろ」とか、こんな風に考えている方も多かもしれません。ですが、このようなことを続けていると、せっかく採用した従業員が全く成長しないばかりか、すぐに退職してしまうことになるかもしれません。人は、仕事の「機会」を与えることで成長に繋がっていきます。ですが、その仕事の「機会」与える、というのは簡単なことではありません。指示の仕方や、難易度、サポートの仕方など、考えるべきことが多くあります。では、成長につながる仕事の「機会」はどのように与えればいいのでしょうか?

機会の与え方について考えたことがありますか?

会社において成長の「機会」とは、「新たな仕事を与えること」であると言えます。
部下に仕事を指示するときに、どのようなことを意識していますか?
とりあえず、やってほしいことを伝えて、「後は、聞かれたら教えようかな」なんて思っていませんか?しかも、聞かれたら聞かれたで、「前、説明した通りなのに、なんでこんなことができないんだろう?」なんて、思いながら説明したりしていませんか?これはよくありません。仕事を指示するときには、「何をすべきか」だけを伝えるだけではいけません。

「2つのWと2つのR」

「どのように」、「理由」、「範囲」でやってほしいのかを伝える必要があります。これは、マネジメント分野で、「2つのWと2つのR」という表現をされることがあります。
What、Why、Reason、Rangeの頭文字です。

新入社員や、経験が少ない若手社員に対して、仕事を指示する際には、この中でも特に2つのWが重要とされています。仕事の指示する際に、何をするか(What)だけ伝えて、どのようにするか(Way)を伝えてないことが結構多いです。

例えば・・・
「〇万円、売り上げて下さい。そのために、1日最低〇件電話をかけて、〇件は顧客を訪問して下さい」といった指示です。
これは、What、つまり何をするかだけ伝えています。良い指示ではありません。
部下の成長につながる「良い機会」になりづらいのです。
Way、つまりどのようにするかを伝えてあげます。この例では、例えば以下のような情報を伝えることができるのではないでしょうか?

「以前、契約してくれていたが、今は、取引が無い顧客のリストがある。まずは、そこに連絡してみましょう。そして、なぜ、取引を止めてしまったのか確認してみてごらん。その理由のうち、現在は解消されている理由があるかもしれない。そうであれば、そこに向けて、現在の解消していることを伝えるために訪問する理由が生まれる」
このように、どうすればよいかも伝えてあげると良いですね。

とにかくやる事だけを伝えてしまうと、経験が少ない社員には、大きなプレッシャーやストレスを感じます。人によっては、成長する前に、退職してしまうかもしれません。人手不足の時代ではなく、比較的容易に人が見つかった時期であれば、そのプレッシャーに耐えられる人だけを残していく戦略でも、上手くいったかもしれません。
しかし、今は、採用がとても難しい時代です。会社側が改善できることは改善し、できるだけ退職に繋がらないようにしていく姿勢が必要だと考えられます。

今回は、「成長につながる機会の与え方」のうち、「部下のやる気を起こさせることの大切さ」や「機会を与えることの難しさ」などについて解説しました。
実際に「機会」として仕事を指示する時には、「どの程度の難易度にすればよいのか」や「どのようにサポートすればよいのか」といったことを意識してみて下さい。

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