大阪プライム法律事務所

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スズメが減っている?!

10.09.19 | 非営利・公益

都市部を中心に一つがいのスズメの育てるヒナの数が減っている可能性があることが、三上修・岩手医科大助教(生態学)やNPO法人『バードリサーチ』の全国調査で分かったと、9月18日の毎日新聞が報じています。研究チームが、東邦大で18日に始まった日本鳥学会で発表したようです。

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文化面でのスズメ 一茶の俳句、「我と来てあそべや親のない雀」、「雀の子そこのけそこのけお馬が通る」は心に残っていますし、「舌切り雀」の話は幼少から親しんでいました。童遥でも、いくつかの雀の歌がありましたが、学校の行き帰りでよく歌ったのは「雀の学校」でした。(チイチイパッパ チイパッパ、すずめの 学校の 先生は、ムチを 振り振り チイパッパ・・・)

「抜け雀」という落語もあります。宿で、毎日酒を飲み、何もせず寝てばかりで七日が過ぎた旅人が。「金は無いが自分は狩野派の絵師」と名乗って、ついたてに墨で雀の絵を描き、江戸へ行ってからの帰りに寄って金を払うから、と言い残して出て行ったところ、宿主が翌日に雨戸を開けると絵の中の雀が飛び出して、その後また元の絵に戻ってきたところ、これが評判になって、多くの客が訪れ大繁盛する話です。

減少理由 それほど日常生活や文化の面で親しんできた雀ですが、なぜ、減ってきたのでしょうか。NPO法人バードリサーチのホームページを見ると、「スズメの減少」と題して、次のような記述が見られました。

「既存の資料をまとめると、ここ数十年でスズメは急激に減少してしまっているようです。たとえば生息数の指標となると有害鳥獣駆除や狩猟で捕獲されたスズメの数は年々減少しています。スズメの減少の原因はよくわかりませんが、今回調べる食物の減少とともに気密性の高い家が増えてきたことによる繁殖場所の減少などが考えられています。」「都市部では子が少ない?三上さんの熊本での調査では、都市部では、1羽しかヒナのいないスズメが多かったのに対して、農村部では2~3羽のヒナが普通でした。これは、他の地域でも言えることなのでしょうか?」

その上で、この会では、全国的な調査への協力を求めていました。調査方法は2つあり、1家族あたりの子スズメの数を記録する「親子調査」と、10羽以上のスズメのうちに、どの程度ヒナがまじっているかを記録する「子スズメの数の調査」です。全国のいろいろな場所で、いろいろな環境のスズメの状況が知りたいとして、ご自宅のまわり、職場のまわり、遊びに行った場所など記録して、調査結果の送信を呼びかけています。こういった協力の成果が、今回の研究発表にも繋がったようです。

毎日新聞の記事によると、そこで集まった346組のつがいのデータを分析したところ、「商業地で平均1.41羽だったのに対し、住宅地1.79羽、農地2.03羽と、都市部ほど繁殖成績が悪かったとのことです。過去に同種の調査をした例はないが、愛鳥家らの『30~40年前には4、5羽のヒナを連れた親スズメは珍しくなかった』といった体験談などから、研究チームは『昔より一つがい当たりのヒナの数が減っている可能性がある』と推測する。三上さんは『特に商業地のヒナの数では、全体の生息数を維持できないだろう。餌場が遠かったり、巣を作る材料が少ないなど、繁殖環境が悪いのが少子化の原因ではないか。今後、産卵数やふ化率、巣立ち後の生存率なども調べ、繁殖のどの段階で減っているのか解明したい』と話す。」とのことでした。

感想 コウノトリやトキはとは違い、さほど注目されないスズメですが、自然環境の変化が減少をもたらしているようです。私たちは便利な生活と引き替えに、何か大切なものを犠牲にしていっているのでしょうか。
 

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