大阪プライム法律事務所

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政府税調がNPO支援の方針を強く打ち出しました

10.04.11 | 非営利・公益

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政府税制調査会は、4月8日に、認定NPO(非営利組織)法人への寄付税制の中間報告書をまとめました。
そこには、寄付額に応じた一定割合を所得税から直接差し引く「税額控除」の導入をはじめ、多くのNPO支援のための方策を盛り込みました。その翌9日、鳩山首相は、政府税調の報告書を受けて、NPOに寄付した場合の所得税の優遇税制について、寄付した金額の半額を所得税から差し引くとともに、学校法人などへの寄付にも、税額控除を認めるべきだという考えを示しました。来年分の所得税から適用する意向です。・・・(続きを読むをクリックして本文をお読みください)
 

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政府税制調査会は、4月8日に、認定NPO(非営利組織)法人への寄付税制の中間報告書をまとめました。
そこには、寄付額に応じた一定割合を所得税から直接差し引く「税額控除」の導入をはじめ、多くのNPO支援のための方策を盛り込みました。その翌9日、鳩山首相は、政府税調の報告書を受けて、NPOに寄付した場合の所得税の優遇税制について、寄付した金額の半額を所得税から差し引くとともに、学校法人などへの寄付にも、税額控除を認めるべきだという考えを示しました。来年分の所得税から適用する意向です。

■中間報告書

政府税調が4月8日にまとめた中間報告書は、かねてからNPOに対して寄付しやすい環境を整備することを明言してきた鳩山首相の意向を受けたものと言えますが、NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会などが要望してきた成果が大きく反映されたものと考えられます。その内容を読んでまとめた骨子は以下の通りです。

1 所得税の税額控除制度の導入 認定NPO法人に寄付した場合の所得税の「税額控除方式」を導入し、「所得控除」方式との選択制とする

2 認定NPO法人の認定基準の見直し (1)新しいパブリックサポートテスト(PST)の導入~事業収入の多いNPO法人でも幅広く市民の支持を受けているのであれば認定を受けられるように、一定金額以上の寄付者の絶対数で判定する方式の導入、(2)地方の自主性を尊重した仕組みの導入~地方自治体が条例に基づき独自に指定した法人は認定NPO法人の認定に反映

3 仮認定制度の導入 設立から年数が浅い法人でPSTを満たしていなくても、他の認定要件を満たしていれば、優遇を認める「仮認定制度」の導入

事後チェック・ペナルティの改善

5 認定機関について~NPO法人の認証を行う地方公共団体等が行う仕組みへの検討

6 みなし寄付金の控除額の限度割合の引き上げ検討

7 地域において活動するNPO法人等の支援 (1)個人住民税の寄付金税額控除について、認定NPOでなくても、条例によって行うことができる制度の創設、(2)地方公共団体による「ふるさと寄付金」の活用(個人住民税における「ふるさと寄付金」を活用してNPO法人等への支援を促進するため、控除対象寄付金の取り扱いを明確にし寄付しやすい環境を整備)、(3)寄付文化のすそ野を広げるために、個人住民税の寄付金控除下限額を5千円から2千円に引き下げ

 

■中間報告の評価 今回の中間報告で示された「仮認定制度の導入」や「認定基準(PST等)の見直し」、「認定機関の地方移管検討」は、事業型NPO法人や、立ち上がったばかりのNPO法人の認定取得が容易・可能になります。これによって認定NPO法人の大幅な増大も期待ができます。認定NPO法人への寄付金への「税額控除方式の導入」や「個人住民税の寄付税制拡充」は、市民活動を支えたいと考える市民にとってメリットが大きく、寄付文化の醸成にとっても大いに歓迎すべきことと思います。鳩山首相が目指す「新しい公共」の実現のためには、NPOへの市民参加や寄付文化の醸成は不可欠です。これからは、きちんとした制度設計を行い、絵空事だけではない実効性のある制度にしていくことが必要と考えます。

■「半額を所得税から控除」首相指示
行政サービスに代わる「新しい公共」を掲げる鳩山首相にとって、税額控除を導入し、NPO活動を促進する寄付税制は看板政策でした。このため、この中間報告の出された翌日、鳩山首相は、官邸で開いた「新しい公共」円卓会議で、報告をした渡辺周副大臣に「半額を所得税から控除」、つまり寄付者の所得税から寄付金の半額程度を差し引ける税額控除方式の導入をするよう指示しました。控除の上限額については「所得税額の25%までを可能にするのが一つの方向だ」と語り、NPO以外の学校法人や、社会福祉法人などへの寄付にも税額控除を認めるべきだという考えも示しました。

さらには、鳩山首相は、「来年1月にも動き出せるようなスピード感で取り組みたい」と述べ、政府税調に具体的な検討を急がせる考えを明らかにしています。
 

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