大阪プライム法律事務所

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女性3人にノーベル平和賞「非暴力の闘い」

11.10.16 | 非営利・公益

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今年のノーベル賞は、女性の権利向上を目指す「非暴力の闘い」に貢献したとして、リベリアのエレン・サーリーフ大統領(72)、リベリアの平和活動家リーマ・ボウイーさん(39)、イエメンの民主活動家タワックル・カルマンさん(32)の女性3人に授与されることになりました。
 
これを発表したノーベル賞委員会のヤーグラン委員長は、「民主主義と恒久平和は、女性が社会の全てのレベルで男性と同等に影響を及ぼす機会を持たなければ達成できない」と述べています。今年のノーベル平和賞は、国連安保理決議が掲げた、女性による「非暴力の闘い」への賛辞と言えます。3人の女性と平和を考えてみました。
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エレン・サーリーフ大統領は、2005年にアフリカで初めて民主的に選ばれた女性大統領(リベリア)です。リーマ・ボウイーさんは女性の参政権を訴え、宗派や民族を超えて女性を組織化した人。タワックル・カルマンさんはイエメンのジャーナリストで、女性の権利や表現の自由を訴え、「アラブの春」と呼ばれる中東の民主化運動に関与してきました。
 
受賞理由
同委員会は、授与決定の理由で「女性の安全と、女性が平和構築作業に全面的に参加する権利を獲得するための非暴力の闘い」を評価したと述べました。戦争や暴力、飢餓は女性に一方的な犠牲を強いると言われます。女性なしに持続的平和はあり得ないということを、今回の3人の受賞が、広く世界にアピールしたものと思えます。
 
国連安全保障理事会決議1325
世界の女性団体が一同に集まって国連安保理に対し提出し、全会一致で採択された重要な決議があります。2000年10月31日の「女性と平和、安全に関する国連安全保障理事会決議1325」がそれです。
 
この決議は、女性の参加(participation)、暴力の防止(prevention)、暴力からの保護(protect)の3つのPで始まります。紛争の解決と予防、そして平和構築、和平仲介、平和維持活動のあらゆる段階への女性の貢献を強調したもので、国際的な女性の権利と平和、安全の問題を前進させる大きなきっかけとなりました。これによって、国連におけるあらゆる意思決定に女性が参加しなければならないこと、その会議に女性が参加していなければ合法的な会議ではないということが、国際法として保障されました。
 
3人の活動内容(毎日新聞10月7日記事より引用)
リベリアのエレン・サーリーフ大統領(72)
米国ハーバード大で修士号(行政学)。79~80年財務相。80年の軍事クーデターで米国へ亡命。92~97年、国連開発計画でアフリカ局長などを歴任。97年の大統領選で落選したが05年選挙で当選。06年に大統領に就任した。
ノーベル賞委員会は、「和平の確保や経済、社会の発展、女性の地位向上を促進した」と評価しました。
 
リベリアの平和活動家リーマ・ボウイーさん(39)
米国で修士号(紛争学)。07年からアフリカのNGO「平和と安全の女性ネットワーク」代表。同年、米ハーバード大ケネディ行政大学院の女性指導者委員会から、平和運動への貢献を評価されブルーリボン賞を受賞。
ノーベル賞委員会は、リベリアの国家再建に貢献したとして、「戦争を終わらせるために民族や宗教の壁を越えて女性を組織した」ことを授賞理由としました。
 
イエメンの民主活動家タワックル・カルマンさん(32)
イエメンの人権団体「束縛なき女性ジャーナリスト」代表として、サレハ現政権に対し平和的な抗議活動や女性の権利擁護運動を率いてきた。ジャーナリストでもある。父親はサレハ政権で法相を務めたことがある。
中東アフリカでの民主化運動「アラブの春」に絡む授賞で、イスラム教徒のジャーナリストとして、「アラブの春以前から(イエメンの反体制運動で)指導的な役割を果たした」と評価されました。
 
「女性を排除すれば新しい民主主義は生まれない」
ノーベル賞委員会のヤーグラン委員長はそう言い切りました。今の日本にも突きつけられた言葉かもしれません。今回の平和賞は、男性社会への警告でもあると思います。
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