大阪プライム法律事務所

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NPO法人は登記をお忘れなく

12.04.14 | 非営利・公益

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平成24年4月1日からNPO法(特定非営利活動促進法)とその施行令の改正によって、NPO法人の代表権に関する登記内容が変わりました。

このため、現在登記されている代表権を持たない平理事についても、代表権喪失の登記手続きが必要な法人が多く生じています。NPO法人の運営にかかわっている方々はご注意ください。
ポイントを解説します。
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代表権喪失の登記手続きを
大多数のNPO法人は、平成24年9月末日までに、理事の登記を変更する必要があります。簡単に言えば、これまでは「理事全員が登記」されていたのが、「代表権を有する理事のみの登記」に変ったためです。
平成24年4月1日から、改正NPO法及び改正組合等登記令によって、「理事の代表権の範囲又は制限に関する定め」が登記事項となりました。

このため、定款において理事の代表権の範囲又は制限に関する定めを設けている場合には、その定めを登記しなければならないこととなったのです。

例えば、定款で、「理事長は、この法人を代表し、その業務を統括する。」などと定めている場合は、理事長のみが当該法人を代表し、それ以外の理事の代表権は制限したものと解されます。今回、こういった代表権を持つ理事のみが登記の対象となり、代表権を持たない理事は、従来は登記されていましたが、登記する必要がなくなりました。これで社会福祉法人等と同様の登記の形となります。
登記の期限
今回の改正規定施行によって、こういった定めがある法人については、4月1日から6ヶ月以内(平成24年10月1日(月)まで)に、代表権を有しない理事について,「平成24年4月1日代表権喪失」を原因とする変更の登記をしなければならないこととされました。なお,代表権を有する理事については,変更の登記をする必要はありません。 
例外=他の変更登記と同時申請(早ければすぐの法人も)
この変更登記は、平成24年4月1日から6か月以内に、NPO法人が他の登記申請(例えば、資産総額の変更登記、新たに法人を代表する理事を選任した場合の変更登記、目的等の変更登記等)をする場合には、この変更登記の申請と同時にしなければなりません。

3月末決算の法人の場合は、資産総額の変更登記を5月末日までに行わなければならないので、その際に一緒に行うことになります。
登記を怠った場合
これらの登記を怠った場合には、20万円以下の過料に処せられることがあります。単に過料の制裁にとどまらず、もし、認定NPO法人の認定申請を考えている場合は、この違反は「法令違反」に当たるため、認定申請時に支障となるので、要注意です。 
改正の背景(もう少し詳細な解説)
これまで,NPO法人の理事は、定款をもってその代表権を制限する定めをしていても、善意の第三者に対抗できないとされていました。このため、理事全員を「代表権を有する者」として登記をしなければならないとされていたのです。このため、定款で理事の代表権を制限しているNPO法人であっても、理事は全員が代表権者として登記されることとなっていました。このため、第三者は実際の代表権の有無を、登記簿から確認できない問題がありました。

今回の改正では、理事の代表権に加えた制限を善意の第三者に対抗することができないとする旨の規定が削除されたことから、「代表権の範囲又は制限に関する定めがあるときは,その定め」が登記事項となりました。

その結果、平成24年4月1日からは、法人の理事の中で「代表権を有する理事」のみが登記事項となったのです。

同年2月3日、法務省は、各地の法務局に対して、改正NPO法の施行に伴う「特定非営利活動促進法の一部を改正する法律の施行に伴う法人登記事務の取扱いについて(依命通知)」を通知して、改正NPO法施行に伴う登記手続きの詳細が明らかとなったものです。
登記をする際の添付書類
①定款
②代表権を有する理事を選定した書面
③代表権を有する理事の就任承諾書
定款について
理事長などのみに代表権を与えている定款の場合、理事長以外の理事に代表権がないことを明らかにするため、新たに「理事長以外の理事は、法人の業務についてこの法人を代表しない。」といった条文を追加した定款変更をすることが求められます。

逆に、理事長以外の理事の代表権を制限しない場合(全ての理事が代表権を持つ場合)は、「すべての理事は、この法人を代表する。」といった条文を追加する定款変更が必要と解されます。
新設立法人について
4月1日以降に設立登記を行う法人については、改正NPO法に基づいた登記が行われますので、最初から代表者のみが登記されることになります。
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