大阪プライム法律事務所

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NPO法の抜本的改正

11.06.12 | 非営利・公益

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1998年3月に法律が成立して以来の抜本的な改正となる特定非営利活動促進法(NPO法)の改正案が、6月15日に、参院本会議で全会一致で成立しました。
この法律は、2003年に活動分野の追加などの改正が行われました。その後は、小さな改正はあったものの、大幅な改正はなされませんでした。・・・・(続きを読まれる方は、タイトルもしくは「続きを読む」をクリック)

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1998年3月に法律が成立して以来の抜本的な改正となる特定非営利活動促進法(NPO法)の改正案が、6月15日に、参院本会議で全会一致で成立しました。
この法律は、2003年に活動分野の追加などの改正が行われました。その後は、小さな改正はあったものの、大幅な改正はなされませんでした。

しかしながら、NPO法人の活動はさらに広がり、法人数も増加するなどの背景を受けて、より動きやすく使いやすい制度改善の要望が市民活動関係者から高まっていました。震災復興支援などでNPOの担う役割に期待が高まっていることも、この動きを押したものと思います。

また、平成23年度税制改正大綱の第2章で、「市民公益税制」として、「市民が参画する様々な『新しい公共』の担い手を支える環境を税制面から支援すること」を基本的考え方に、①所得税の税額控除制度の導入、②認定NPO法人制度の見直し、③認定NPO法人の新認定法に基づく新たな認定制度、④地域において活動するNPO法人等の支援(個人住民税)、が盛り込まれたことを受けてのものといえます。

今回の改正では、NPO法人制度の大幅な改正とともに、さらに大きな特徴として、「認定NPO法人制度」をNPO法に盛り込み、認定機関を国税庁から都道府県・政令市への移管、パブリック・サポート・テスト(PST)を免除した「仮認定制度」の導入などがなされました。

改正NPO法の主な内容
■目的の改正
この法律は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること並びに運営組織及び事業活動が適正であって公益の増進に資する特定非営利活動法人の認定に係る制度を設けること等により、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的とするものとすること。

■NPO法人制度(認証制度等)の改正
(1)活動分野の追加
法第2条の別表に記載されている17 の活動分野に加えて、新たに下記の活動分野が追加されました。
① 観光の振興を図る活動
② 農山漁村及び中山間地域の振興を図る活動
③ 法第2条別表の各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
(2)所轄庁
内閣府の認証事務をなくして、主たる事務所の都道府県・政令市に移管することになりました。
(所轄庁の変更に伴い、内閣総理大臣が所轄庁であるNPO法人に係る事務所所在地の知事へ法人書類を送付し、知事が法人書類を閲覧させることができるとする仕組みは、インターネット等による情報の提供に変更。)
(3)認証審査期間の柔軟化
所轄庁は、認証審査期間について、縦覧期間が終了した日から2月以内で都道府県又は指定都市の条例で定める期間とすることができるものとしました。
(4)社員総会の決議の省略
理事又は社員が社員総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき社員の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の社員総会の決議があったものとみなすものとしました。
(5)理事の代表権の制限に関する登記
理事の代表権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができないとの規定を削除しました。(あわせて、組合等登記令の改正により、定款により理事の代表権を制限した場合は、その旨を登記できるようにし、代表権を有さない理事については、登記不要となる予定)。
(6)定款変更の際の届出事項の拡大
 所轄庁への届出のみで定款の変更を行うことができる場合として、新たに次に掲げる事項のみについて定款の変更を行う場合を追加するものとしました。
① 役員の定数、② 会計に関する事項、③ 事業年度、④ 解散に関する事項(残余財産の帰属すべき者に係るものを除く。)
届出事項に係る定款の変更をしたときは、遅滞なく、変更後の定款及び当該定款の変更に係る社員総会の議事録の謄本を添えて、その旨を所轄庁に届け出なければならないものとしました。
(7)解散公告の簡素化
解散時における債権者への債権の申出の催告についての公告の回数を、3回以上」から「少なくとも1回」に簡素化するものとしました。

■ 信頼性向上のための改正
(1)認証後未登記団体の認証取消し
設立の認証を受けた者が設立の認証があった日から6月を経過しても設立の登記をしないときは、所轄庁は、設立の認証を取り消すことができるものとすることとしました。(合併についても同様)。
(2)会計書類の名称変更等
「収支計算書」から「活動計算書」、設立時の「収支予算書」から「活動予算書」、貸借対照表及び活動計算書を「計算書類」に、財産目録を附属明細書的な位置付けに変更しました。

■ 認定NPO法人制度の改正
(1)認定NPO法人制度をNPO法への盛り込み
NPO法人のうち、その運営組織及び事業活動が適正であって公益の増進に資するものは、認定機関を国税庁から変更して、所轄庁の認定を受けることができるものとしました。
(2)認定の基準
所轄庁は、認定の申請をした特定非営利活動法人が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、当該認定をするものとしました。
①広く市民からの支援を受けているかどうかを判断するための基準(パブリック・サポート・テスト(PST)基準)として法で明記した一定の基準を明記して、そのいずれかに適合すること。
②実績判定期間における事業活動のうちに法で明記した共益的活動の占める割合として内閣府令で定める割合が100 分の50 未満であること。
③運営組織及び経理に関する基準の適合。
④事業活動に関する基準の適合。
⑤閲覧請求への対応に関する適合。
⑥事業報告書等の提出の適合。
⑦法令違反等その他公益に反する事実がないこと。
⑧設立日以後1年を超える期間が経過していること。
⑨実績判定期間において一定範囲の適合基準に適合していること。
(3)認定の欠格事由
法で明記した一定の認定欠格事由のいずれにも該当しないことが必要。
(4)認定の有効期間
当該認定の日から起算して5年とし、その満了後に有効期間の更新を受けようとする場合は、有効期間の満了の6月前から3月前までに申請を行わなければならないものとしました。

■「仮認定制度」の導入
NPO法人のうち、その運営組織及び事業活動が適正であって特定非営利活動の健全な発展の基盤を有し公益の増進に資すると見込まれるものに「仮認定」制度が導入されました。
(1)仮認定の基準
所轄庁は、仮認定の申請をした特定非営利活動法人が次に掲げる基準に適合
すると認めるときは、当該仮認定をするものとすること。
①認定基準のうち、パブリック・サポート・テスト(PST)以外の認定基準に適合すること(つまりは、PST要件が免除)。
②設立の日から5年を経過しないNPO法人であること。
③認定又は仮認定を受けたことがないこと。
(2)有効期間 3年

■予定施行日
平成24年4月1日

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