社会保険労務士法人アルコ

国民年金の寡婦年金について

17.12.20 | 事務所通信

12月13日付の日本経済新聞の記事に、夫と別れて子育てをする母親たちの、所得税を軽くする寡婦控除に、それまで控除の対象外だった未婚の母親も、対象範囲に加える事を検討する記事が掲載されていました。
そこで今回は、老齢基礎年金の受給資格を満たした夫が、死亡した際に、その妻に対して、60歳から、妻の老齢基礎年金が支給されるまでの、有期年金として支給される寡婦年金について簡単に説明させていただきます。

1, 寡婦年金の支給要件
 まず、寡婦年金が支給されるためには、死亡した夫と、支給を受ける妻、それぞれ下記の要件を満たす必要があります。
・死亡した夫の要件:以下①~③全ての条件を満たすこと。
① 死亡前日の時点で、第一号被保険者としての保険料を納めていた期間(免除期間を含む)が10年以上あること。
② 障害基礎年金の受給権者であったことが無いこと。
③ それまで老齢基礎年金の支給を受けたことが無いこと。

・支給を受ける妻の要件:以下①~③全ての条件を満たすこと。
① 夫の死亡当時、夫によって生計を維持していたこと。(年額850万円以上の収入を将来にわたって有すると認められないこと)
② 事実婚を含む夫との婚姻関係が10年以上継続していたこと。
③ 65歳未満であり、繰り上げ支給の老齢基礎年金の受給権者でないこと。

寡婦年金はあくまで、夫によって生計を維持していた妻が、老齢基礎年金を受給するまでの有期年金なので、妻が老齢基礎年金を受給している場合、寡婦年金は支給されません。

2, 支給期間、年金額及び失権事由
 寡婦年金は夫の死亡時に、妻が60歳以上の場合、夫の死亡日の属する月の翌月から、60歳未満の場合は60歳に達した日の属する月の翌月から、それぞれ支給され、その金額は、夫が本来受給するはずだった老齢基礎年金の4分の3に相当する額となります。また、寡婦年金は、夫の死亡について、労働基準法の規定による遺族補償が行われるときは、夫の死亡日から6年間、その支給が停止され、受給権者である妻が、65歳に達するか、死亡、婚姻、もしくは直系血族又は直系姻族以外の養子となった場合(事実上の養子縁組関係を含む)、繰り上げ支給の老齢基礎年金の受給権を取得した場合は、受給権が消滅します。

 以上、寡婦年金について、簡単に説明させて頂きました。支給要件や失権の要件が細かく、わかりにくかったと思いますが、寡婦年金に限らず、年金制度は支給事由が複雑なため、将来自分がどの年金を受給できるか、一度調べてみると良いかもしれませんね。

今年最後の配信となります。今日はクリスマスイブですね。街も大変にぎわっています。
本年は大変お世話になりました。来年もどうぞ、宜しくお願い申し上げます。良いお年をお迎えください。
相良 晋太郎

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