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国民年金受給開始年齢について(第二弾:支給の繰り下げ)

18.03.07 | 事務所通信

前回のメールマガジンでは、国民年金受給開始年齢について取り上げ、老齢基礎年金の支給開始年齢繰り上げ支給について、簡単に説明させて頂きました。
今回は、前回の記事の続きとして、老齢基礎年金の支給開始年齢の繰り下げについて、簡単に説明させて頂きます。

1, 老齢基礎年金の支給開始年齢の繰り下げ
 まず、前提として、国民年金保険の老齢基礎年金の受給権を有するには

①:年齢が65歳に達していること
②:「保険料納付済期間」又は「保険料免除期間」を有していること
③:「保険料納付済期間」と「保険料免除期間」が合わせて10年以上あること

以上、3点を満たしている必要があります。
そして、老齢基礎年金の受給権を有する者が、66歳に達する前に、老齢基礎年金を請求していなかった場合、厚生労働大臣に、老齢基礎年金の支給開始年齢の繰り下げの申し出をすることが出来ます。
ただし、受給権者が以下に該当する場合、支給繰り下げの申し出は出来ません。
A:65歳に達したときに、他の年金給付又は老齢厚生年金以外の厚生年金保険の受給権者であった場合
B:65歳に達した日から66歳に達した日までの間に、他の年金給付の受給権者であった場合

2,支給開始年齢繰り下げ申し出日
 老齢基礎年金の支給開始年齢繰り下げの申し出は、受給権者が以下に該当した場合に、下記に定めた日に申し出があったと見なされます。

①:70歳に達する日前に、他の年金給付の受給権者になった場合  → 他の年金給付を支給すべき事由が生じた日
②:70歳に達した日後に申し出をした場合  → 70歳に達した日

以上の事から、老齢基礎年金の支給年齢は最大で70歳に達する日まで繰り下げる事が出来ることとなります。

3,繰り下げの支給開始時期及び支給額の増加
 老齢基礎年金の支給開始年齢の繰り下げを申し出た場合、受給権者に対して、当該申し出のあった日の属する月の翌月から老齢基礎年金が支給されます。

 繰り下げを申し出た場合に受給権者に支給される老齢基礎年金の額は、
年金額に以下の式で算出した増額率を乗じた額が加算されます。

増額率=0.007×【受給権取得月~繰り下げ申し出月の前月までの月数(最大60)】

例えば、65歳で受給権を取得した者が、70歳に達した日に繰り下げの申し出をした場合、増額率は0.007×60=0.42となり、老齢基礎年金が42%増額されることとなります。
 以上、老齢基礎年金の支給開始年齢の繰り下げについて、簡単に説明させて頂きました。この先、少子高齢化社会の影響を受けて、定年となる65歳を超えても現役で働く方が増えていくと思われます。「自分は65歳を過ぎてもまだまだ現役で働けるぞ」という方は、老齢基礎年金の支給開始年齢の繰り下げを検討してみてはいかがでしょうか。
             
 相良 晋太郎

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