歯科衛生士不足の実態
14.05.11 | 業種別【歯科医業】
先日、医院を開業したばかりの歯科医師がこんな話をしてくれました。
開業の4ヵ月前から歯科衛生士の募集を開始したところ、
割とすぐに応募があり、面談をしたら資格は持っているけれど、
衛生士業務はしたくないという変わった希望だったので、
まだ時間もあると思って断ったそうです。
クリニック経営、次の一手
しかし、その後まったく応募がなく、
困った挙句にその衛生士に連絡をしたところ、
すでに勤務先が決まっていて今度はクリニック側が断られてしまう。
内覧会の日になっても応募がなく、
もう歯科衛生士不在で開業するしかないと諦めていたところ、
たまたま内覧会参観者のなかに歯科衛生士がいて、
何とか口説いて勤務してもらえることになったそうです。
話をしてくれた歯科医師は開業の準備で何より困ったのが、
歯科衛生士探しだったと苦笑いをしていました。
平成24年の時点で、
日本には約10万人の歯科医師に対して、歯科衛生士は24万人います。
毎年、新たに約3,000人が歯科医師となり、
その倍の約6,000人が歯科衛生士の資格を得ています。
さらに歯科衛生士の勤務先としては、
歯科診療所が圧倒的な割合を占め、
資格を活かして働いている歯科衛生士のうち、
実に90%が歯科診療所に勤めています。
歯科診療所数は6万8,000件程度ですから、どう計算しても、
ひとつの診療所に2~3人程度は歯科衛生士が行き渡るように思えます。
しかし、歯科衛生士がいない、
というのはほとんどの歯科診療所に共通した悩みです。
歯科衛生士が不足する最も大きな原因は、
歯科衛生士登録者24万人のうち実に42%にあたる10万人が、
資格を持ってはいるが未就業の
いわゆる潜在歯科衛生士であるという点にあります。
歯科診療所に勤めているのは
就業している歯科衛生士の90%であって、
全体からみると40%程度にしかなりません。
いま各地方の自治体で、
結婚・出産・育児・介護といった理由から、
現場を離れた歯科衛生士を対象とした、
復職支援活動が活発になってきています。
行政による支援も大切ですが、
本当に歯科診療所に歯科衛生を呼び戻すには、
歯科診療所の労働環境を変えていくことが必須であるといえます。
次回の「クリニック経営、次の一手」は、
「歯科クリニックの人手不足問題」をテーマにお届けします。
[プロフィール]
長田 耕一(ながた・こういち)
フォーユーメディカル株式会社にて、医院の職場環境づくりをスタッフへの福利厚生の充実からサポートすべく医療・介護従事者のための福利厚生サービス「@Benefit」を開始。
大企業が利用する福利厚生サービスを組み込み、更に医療・介護業界に特化したサービスをもプラスした「@Benefit」は、個人医院にも大企業並みの福利厚生を提供する医療・介護機関向けの初めての福利厚生アウトソーシングサービス。
@Benefit(アットベネフィット):http://www.benefits.jp
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