高齢者の歯科需要が増大! 歯科医が担う“食事の支援”とは?
18.02.09 | 業種別【歯科医業】
平成29年5月22日、厚生労働省により発表された『歯科保健医療を取り巻く状況について』のデータによると、平成26年の歯科受診患者の約40%が65歳以上でした。
今後も高齢化が進んでいくなかで、高齢者の歯科治療の需要はさらに増加していくでしょう。
今回は、歯科医院における“食事の支援”に着目して、高齢患者のニーズについて見ていきましょう。
管理栄養士の指導や食事レシピの提供も!
歯科治療と“食べること”は密接に関係しています。
特に高齢患者の治療の際は、「自分の歯で食事をしたい」「これからも自分の力で食事を摂りたい」など、食事・健康に関する要望を聞くことも多いでしょう。
このようなニーズに応えるため、最近では“歯や健康に良い食事レシピ”を作成し、提供している歯科医院が増えてきています。
さらに、食育を通して患者の全身の健康にも関与していこうと、管理栄養士を雇い、歯科治療後の栄養指導に力を入れているという歯科医院もあるようです。
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
・食育や健康に関する講義
・抜歯など手術の1~2週間前からの食事指導カウンセリング
・歯科医師指導のもと、予防歯科と健康との関連性を食事の面からアドバイス
“歯の治療”にとどまっている限り、このようなサービスは思いつかないでしょう。
患者のニーズを追求することによって新たな付加価値を生み出していくことが、今後、より重要になってきそうです。
地域で連携しあって高齢者の健康を支援
次に“高齢者に対する食事の支援”に関して、多職種での“地域包括ケア”の事例をお伝えします。
高齢者の死亡原因のなかで多くの割合を占める病気として“誤嚥性(ごえんせい)肺炎”があります。
これは、日本呼吸器学会によると『嚥下(えんげ)機能障害のため唾液や食べ物、あるいは胃液などと一緒に細菌を気道に誤って吸引することにより発症する疾患』です。
この誤嚥性肺炎の原因の1つとして知られるのが、口の中のものを上手く飲み込めなくなる“嚥下障害”です。
嚥下障害はリハビリによって改善するケースもあるようで、歯科医による訪問診療を行っている医療機関もあります。
もちろん歯科医だけでなく、医師や栄養士、言語聴覚士、ヘルパーなど多職種との連携が重要です。
口腔ケアや嚥下訓練などの包括的な支援によって歯科医が“地域包括ケア”に参加していくことは、地域との結びつきを強めていく有効な手段といえます。
また、地域に出向いて地域住民の声を聞くことで、新たな病院経営のアイデアも生まれてくるのではないでしょうか。
“歯の専門家”から“食べることの専門家”へ発想を変えて自らのフィールドを広げていくことで、今後の歯科医院経営の活路が開かれていくでしょう。
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