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自社で作って自社で売る! 新しいビジネスモデル『D2C』の可能性
21.05.25 | ビジネス【マーケティング】
取次会社や代理店などの流通業者を挟まずに、製造者が自社のECサイトなどでユーザーにダイレクトに商品を販売する『D2C』というビジネスモデルが注目を集めています。
D2Cは『Direct to Consumer』の略で、似たようなビジネスモデルとしては『BtoC』が以前からありました。
近年は、それとは似て非なるD2Cが美容業界やアパレル業界などを中心に、さまざまな業種に取り入れられています。
今回はD2Cについて、BtoCとの違いやメリットなどを説明します。
似ているようで大きく異なるD2CとBtoC
D2Cは、2010年頃にアメリカで注目されるようになったビジネスモデルで、製造者が消費者に直接商品を売る販売形態のことを指します。
既存の流通網に商品を乗せるのではなく、製造者が自社のECサイトなどの自社チャネルから消費者に直接商品を届けるようなケースがこれにあたります。
自社で企画・製造した商品を自社サイトで直接販売するネット企業などは、『D2Cブランド』などと呼ばれるようになりました。
D2Cを用いたビジネスは、取次会社や代理店などの流通業者を挟まないため、コスト削減にもなり、また自社のECサイトやSNSで消費者と直接コミュニケーションを取ることができるため、ユーザーの顧客情報を収集しやすいといったメリットがあります。
企業が個人と直接やり取りをするビジネスモデルは、これまでにもありました。
たとえば、取次会社などを通さずに、店舗ではなくメディアを利用して自社の商品を販売する『通信販売』、すなわちBtoCというビジネスモデルも、1800年代には存在していたといわれています。
では、D2CとBtoCは、具体的にどう違うのでしょうか。
大まかに説明すると、BtoCは、“誰に向けて商品やサービスを提供するのか”という考え方であるのに対し、D2Cは、企画・コンセプトから製造までを手掛けた会社が、“ユーザーにどのように商品やサービスを届けるか”というスタイルであることです。
取次などの流通業者を挟まないD2Cは、商品の高品質化やブランドの確立がしやすく、顧客からの意見で商品をすばやくブラッシュアップできます。
もちろんD2Cも、ビジネスとして、商品を販売して利益を得ることが大きな目的です。
しかし、それ以前にブランドの世界観や、ユーザーの課題解決に重きを置いており、企業とユーザーが双方向の関係性を構築して、ともに成長していくという見解が根底にあります。
つまりD2Cにおいてのユーザーは、企業にとって“ともにブランドを育てる仲間”なのです。
今では多くのD2Cブランドが、自社のECサイトでブランドの理念をユーザーに発信し、共感してくれるユーザーが商品を購入してくれればよいという考え方のもと、ビジネスを行っています。
ほかにも、D2CとBtoCの違いといえば、BtoCビジネスは小売店を通して顧客に商品を販売する形態が多いことに比べ、D2Cビジネスは原則的にECサイトがメインになることなどがあげられます。
消費形態が変化していくなかで登場したD2Cは、今後さらにすそ野を広げていくといわれています。
近年は、サブスクリプションのようなユーザーとの継続的な関係を構築するビジネスがブームということもあり、ますますD2Cビジネスは注目を集めていくでしょう。
D2Cのメリットと成功事例
D2Cには、ユーザー情報を収集&蓄積しやすいというメリットがあります。
ユーザーのECサイトへの滞在時間や離脱率、商品やサービスへの満足度などを知ることができ、その情報を分析したうえでの新商品のリリースなど、ユーザーに合わせた情報を提供することが可能です。
素早く顧客データをマーケティングに反映することは、ブランドの強化にもつながり、結果としてブランドや会社のファンを増やすことにもなります。
また、仲介にかかるコストだけはなく、実店舗のテナント料や運営していくための人件費なども削減できるのも、大きなメリットといえるでしょう。
SNSやECサイトを活用したD2Cのターゲットは、概ね1990年代以降に産まれたデジタルネイティブ世代だといえます。
低価格で高品質のものを好む、新しい消費価値観を持つデジタルネイティブ世代が、近年のD2Cブランドを支えています。
幼少の頃からインターネットやスマートフォンを使いこなし、ネット上での消費に抵抗が少ない世代をターゲットにしたD2Cは、これからもEC市場をメインに拡大を続けていくでしょう。
国内でも、アパレルブランドだけではなく、さまざまな業種のD2Cブランドが成功を収めています。
たとえば、1食で1日に必要な栄養素の1/3がとれる完全栄養のパンを販売する『BASE FOOD』や、無添加かつ自然素材のおやつを販売する『snaq.me(スナックミー)』などの食品系、ユーザー個人の美容分析に沿ったサプリを提供する『FUJIMI』や、ボタニカルなシャンプーを提供する『BOTANIST(ボタニスト)』などの美容系が特に注目を集めています。
D2Cは、初期コストも抑えられるため、スタートアップ企業にはぴったりのビジネスモデルといえます。
これまでの流通を変化させたい、もっとユーザーの声を活かしたビジネスをしていきたいと考える企業は、まず自社におけるD2Cの可能性を考えてみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2021年5月現在の法令・情報等に基づいています。
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