政府統計で読み解く歯科医院経営(4)…歯科衛生士不足の要因
15.09.04 | 業種別【歯科医業】
資格を取得しながら勤務をしていない「潜在歯科衛生士」の実態を把握することは非常に困難です。
実際に病院や診療所等に勤務している歯科衛生士の動向については、「衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」として厚生労働省から隔年で統計が出されています。
最新の同統計によると、平成26年の就業歯科衛生士数は11万6,299人で、平成16年の7万9,695人から実に45.9ポイントの増加となっています。そのうち9割以上の就業場所が歯科診療所ですが、ここ10年間の歯科診療所数の増加は5ポイント程度にとどまっています。
歯科診療所の伸びと比較して、就業歯科衛生士数がこれだけ伸びているのであれば、歯科衛生士が余ってもいいはずです。しかし、実際には衛生士不足を問題とする声は年々高まっています。昨今の歯科衛生士不足が、診療所数と衛生士数の単純な比例で起こっているわけではないことが見て取れます。
では、なぜ歯科衛生士不足と言われているのでしょうか。よく言われることは、歯科衛生士自体の重要性が高まったことにあります。これは、口の健康意識が強まったことによる予防歯科の需要増や、高齢者の増加による訪問歯科の需要増といった歯科診療の変化に起因しています。
ここで同統計を読み解いてみると、もう一つ原因と思われるものが浮かび上がってきます。同統計には、年齢階級ごとの歯科衛生士数の年次推移も掲載されています。この推移を見てみると、総数では大幅に伸びていましたが、年齢階級ごとでその伸び率が大きく異なっていることが分かります。34歳以下では平成16年4万8,518人⇒平成26年4万8,894人とまったく伸びていないのに対して、50歳以上では5,597人⇒1万9,139人と3.5倍近い伸び率となっています。
この数字から、変化した歯科診療に対応できる常勤の若い歯科衛生士の数が不足していること、つまり現場の需要に供給がうまくマッチングできていないことが、昨今の歯科衛生士不足と言われる要因の一つであることがうかがえます。
クリニック経営、次の一手
[プロフィール]
フォーユーメディカル株式会社 アットベネフィット事業部(大城正和・倉田竜典・町山卓)
同事業部では、医療・介護従事者のための福利厚生サービス「@Benefit」として、歯科医院スタッフにも大企業社員並みの福利厚生をさらに医療・介護分野だけの特別プログラムをプラスして提供しています。
@Benefit(アットベネフィット)
営業スタッフは、医療介護福祉事業に特化した採用・求人から教育・評価までをサポートする人材戦略コンサルタントとしても活躍中。
[記事提供]
(運営:株式会社アックスコンサルティング)
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