クレーム対応は誰のため
14.01.12 | 業種別【歯科医業】
顧客の声を聞くことは、どんな商売でも大切なことです。
サービスや商品を提供する側は、
どうしても効率や費用といった
提供する側の都合を中心に判断をしがちで、
ひいては独りよがりなサービスや
商品の提供に陥る可能性が否めません。
クリニック経営、次の一手
あらゆる業界で競争が激化する昨今、
利用者の立場にたって発想し、
提供する側に都合がつく限りにおいて
最大限の努力をもってサービスや
商品を創り上げていくことが、
どのような商売であろうと
事業を存続させるためには必須なことといえます。
利用者の立場に立って発想するためには、
「顧客の声を聞く」ことが最も直接的で
重要な方法であるのはいうまでもありません。
しかし、医療機関にとっては、
この「顧客の声を聞く」ということが
簡単なようでいてなかなか難しいものなのです。
私は勤めていた広域医療法人で、
患者の声を集めるために
「お客様相談室」を立ち上げたことがあります。
「お客様相談室」といえども、
クリニックと同じ組織内の部署に
率直な意見を言うのがためらわれるのか、
アンケート、ハガキやメールといった手法では、
良い意見は集まっても悪い意見が集まることは
ほとんどありませんでした。
直接のヒアリングでも同じことで、
せっかく立ち上げたものの上手く機能しなかった
苦い経験があります。
そんな時に、たまたまクレーム発言の内容が
細かく記載されたカルテを目にしたのです。
担当のスタッフは
何の意図も持たずに記載していたようですが、
そこには、
求めていた患者の生の意見がリアルに表現されており、
探していた「患者の声」が埋まった
宝の山を発見したように思えたのです。
クレームの内容をしっかり記録するだけでも、
以後の業務改善に役立たせることができます。
クレーム対応はしっかり行えば行うほど、
当事者である患者のためだけではなく、
すべての患者の、そしてサービスを提供する
クリニックにとっての大きな財産になります。
クレーム対応は、
すべての患者とクリニック自身のためにある。
次回の「クリニック経営、次の一手」は、
「クレームは全員で共有する」(仮)をお届けします。
[プロフィール]
長田 耕一(ながた・こういち)
フォーユーメディカル株式会社 取締役副社長
広域医療法人の元法務責任者としてクレーム対応を経験。その数は1,000件を超える。現在は、医院の第三者継承をマッチングする「クリニックM&A」事業にてM&Aアドバイザーとして年間20件以上の譲渡成立を支援するとともに、医師会や企業研修での講演、各種媒体でのコラム執筆などで活動中。共著に「医業承継の完全実務」(日本法令)。
http://www.4um.co.jp/
http://www.clinicma.com/
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