「どれだけ成功体験を積ませられるか」を重点に置いてスタッフを教育
16.12.09 | 業種別【美容業】
美容室の「商品」は「人」そのものです。
どんなに素晴らしい技術も、どんなに良いサービスも、お客様に接するスタッフの魅力がベースになります。
だからこそ美容室は人材教育に取り組み、魅力あるスタッフへと成長させることが不可欠なのです。
関東地区の大都市部に店舗を構えるサロンNでは、自社サイトに教育カリキュラムを掲載しています。
その内容に興味を持って応募してくる人も少なくないそうです。
代表のSさんに話を聞きました。
1.目標の割り算
サロンNの人材教育で特徴的なもののひとつに「目標の割り算」があります。スタッフに「いつまでに」「どうなりたいか」をはっきりさせた後、何を伸ばしていくかを考えてもらうのです。
採用面接でも「美容師としてどうなりたいか」「入社したら何ができるか」を質問しているそうです。
2.自主レッスン・自由時間の確保
続いて「自主レッスン・自由時間の確保」として、スタッフの営業時間を午後6時までにしています。
遅くても午後7時過ぎには練習を始められ、閉店後でも2人以上のモデル練習が可能になります。
さらに水曜日の開店を12時にして、午前中をスタッフの練習時間にあてています。
「独立する際、人を育てていきたいという思いが強かったです。美容師が育つ環境でなければ、お客様を満足させられません。だからこそ、練習できる時間を確保しました」(Sさん)
3.プレデビュー制度
「プレデビュー制度」は、3回以上スタッフの練習相手になってくれたカットモデルに対して、スタッフのデビュー直前に、営業時間内にてプレデビュー価格で施術サービスを行う制度です。
スタッフが美容師としてデビューしたら、そのままスタッフの顧客になってくれることを理想としています。
「プレデビュー制度」はSさんが人材教育で大切にしている「どれだけ成功体験を積ませられるか」という考えに基づいています。信頼関係のある顧客が1人もいないままデビューすると、顧客がリピートしてくれなくなるたびに失敗体験が蓄積し、目標を見失ってしまいます。
一方、デビュー時に信頼関係のある顧客が1人でもいれば、比較的容易に成功体験を積み上げることができるのです。
4.選べるキャリアパス
また、サロンNではキャリアパスが選択制となっています。
以下の3タイプから、スタッフが希望するキャリアと働き方に合わせて選ぶことができます。
・早く現場で活躍したい
・結婚・出産後も働きたい
・自由な働き方を目指したい
・すべての技術を学びたい
・美容師として自立したい
・いろいろな可能性をつくりたい
・人気美容師になりたい
・多くの収入を得たい
・将来は組織をつくりたい
全員に高い目標を持たせて、最後までやり切れれば理想ですが、人によっては途中でモチベーションが下がってしまうこともあります。他人ではなく自分自身が選んだカリキュラムを実践し、成功体験を重ねることで、モチベーションを上げていく仕組みをつくっているのです。
「美容師として楽しい時間を経験しないまま辞められるのは避けたいと考えています。成功体験を含めて多くのことを経験できる教育を施すことが、私の役目だと感じています」
Sさんは笑顔で語ります。
となりのヘアサロン
【記事提供元】
サロンオーナー2016年12月号(理美容教育出版)
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